0.7センチメンタル

有毒 無益なポエムと意味の無い作り話しか出てきません

前略、病床より

新宿の明るさが好きだ。 それは活気とかではなく、街灯として。

きっと私が東京郊外でしか暮らしたことがない田舎者だからだろう。

歌舞伎町の女王が言うようにJR新宿駅の東口を出ると、やっぱりそこは私にとってどこか幻想的で、汚くて下品で、でも、救われる。

最寄り駅から自宅に帰る道の街灯は自転車のライトが壊れたまま修理に出さない馬鹿な娘が事故を起こさない程度の寂しい灯で、風邪っぴきの馬鹿な娘が寝る部屋には付けっぱなしのスマホ以外の灯はない。

歌舞伎町の一つも欠けていない電気が好きだ。 パチンコ屋のライトが欠けることは許されないし、薬局だって電気屋だってみんな欠けてなんかいない。いつだって何かが足りていない私は何かが欠けているものへ親近感を感じるし、でも少し嫌悪感も感じる。

観光客が写真を撮る気持ちを私は理解できるし、さすがに初めて来たわけでもなく写真を撮ることはしないが、見惚れてしまうのもよく分かる。一方で私は花火は特段好きというわけではないのだが、それは一瞬のできごとすぎて見惚れる暇もないからかもしれない。(あの雑踏に果敢に挑む目的として花火が不十分と思う気持ちもあるが)

イルミネーションも確かに素敵だと思うが、東口を出た配色だってガチャガチャの目立つために作られた下品と言われるような灯の方が私に向いているようだ。

相変わらず下品な女のまま成長できずにいる。 下品でバカなのに風邪をひくなんて阿呆らしいと自分でも思う。バカはバカらしく風邪をひかないでほしいものだ。